「生前整理」と「遺品整理」の違いとは?その目的を分かりやすく解説
「生前整理」「遺品整理」と聞くとなんだかまだまだ先の話のように感じませんか?
実際そのような場面に立ち会っていない人はピンとこない方圧倒的に多いようです。
死ぬことを想定するということにやはり抵抗がありますよね。
生前整理は、年老いた方々が死後のことを考えて身じまいをするイメージががありますが、近年は若い世代から始めているようです。
「生前整理」「遺品整理」とはどんなことをするのか紐解いてみれば、実はそんなに難しく考える事ではなく、すぐに実行できることも多いのです。そして整理されていくことでどんどんスッキリとして心が豊かになっていきますので少しでも興味を持っていただけたら嬉しいです。
Contents
生前整理とは?
生前整理とは、簡単に言えば生きている間にできる身辺整理や、自分が死んでしまってから残された家族に負担をかけないために片付けることを言います。
普段生活していく中で自然にできればいいのですが、そのような意識を常に持つということはとても難しいです。
生前整理とはどういうものなのかを理解して計画的に実行すれば身軽に人生後半を楽しむことができます。
メディアでもよく聞く「終活」という言葉があります。
ポジティブな言葉ですがなんだか縁起が悪いと思う方もいらっしゃるでしょう。
「終活」とは自分の人生の終わりを迎えるための身じまいのことです。
「生前整理」とは身辺をキレイに整理整頓をすることです。そして、それに伴い自身の気持ち、生活、心が落ち着きより豊かな生活を送ることができる為、結果的に心の整理でもあります。
「終活」と「生前整理」は似ているようで実は意味合いが違うのです。
生前整理のメリット・デメリット
生前整理をするのはとてもいいことですが、メリット、デメリットもあります。いざ実行する上でメリット・デメリットを理解しておくこともとても大切です。
ただ漠然と生前整理を進めていくよりもより効率的なやり方、自分にあったやり方をみつけて着々とゴールに近づけられることを目標としましょう。
生前整理のメリット
生前整理をするメリットは大きく分けて5つあります。
①快適な生活が送りやすくなる
不要なものを処分すると今まで以上に快適な暮らしを手に入れることができます。
本当に必要なものが見えてくると自分にとっての本当に大切なことが見えてきます。
②自分で持ち物の行き先を決められる。
死んでしまってからだともう自分の意志で事が進むことは不可能ですのであらかじめ持ち物の処遇を決めておけます。
③相続のトラブルが防げる
亡くなった人の財産を調べることは結構な負担になります。またその相続の意思をはっきりしておけば親族の間で亀裂が入る心配もありません。
④体力があるうちに行動できる
体力がなくなってくると生前整理をしたくてもなかなか先に進むことができません。
元気なうちに不要物の処分や、整理しておくべきこともやりやすくなります。
⑤急な病気や事故などの対処ができる
人はいつ何時、何があるかわかりません。今は漠然と頭の中でどこに何があるかがわかっていても、入院などで家族に持ってきてもらう書類、証明証など、整理してあれば相手に伝えやすくなります。
先のことを見据えての行動で急な出来事への対策を持つことで安心できます。
生前整理のデメリット
生前整理をする上でのデメリットは以下2つあります。
①時間や負担がかかる
『備えあれば憂いなし』とはいいますがいざ行うとするとやはり時間がかかってしまいます。
また、不用品の処分には体力が入りますので負担に感じますし、結局途中でやめてしまうケースも多々あります。
②費用の問題
不用品を処分するにあたっては費用がかかります。
また、年配者ですと体力がなく業者にお願いする場合があると思いますが、業者の規定の費用がかかります。また決して安いものではありません。
生前整理のやり方
生前整理をしようと思い立ったときに、いったい何から始めたらいいのでしょうか。
まずは大きな項目ごとに分けてみれば今何ができるのか、何から手を付けやすいのかが見えてきます。
生前整理は早い時期から始めるに越したことはありません。若い世代から始める方もいますが体力のある40代、50代で始めるのが理想です。
高齢になって始めると体力、判断能力の衰えが始まりますので途中で終わってしまうこともあります。
物の整理整頓・断捨離
生前整理の中でやるべきことの中に物の整理整頓があります。
必要な品と不必要な品との仕分けをしましょう。
いわゆる「断捨離」なのですが、生前整理との違いは”自分のため”か”残された人のため”かだけなので断捨離をして自分も家族も幸せになるためにしっかりと生前整理をしましょう。
自分自身断捨離をすることで精神が落ち着き、心に余裕が生まれ周りの環境も豊かになるでしょう。
デジタル系の整理整頓
最近、遺品整理をするに当たり、デジタル系の遺品の問題があります。
今は私達にとって当たり前のように使っているスマホやPCなど。
またインターネットを介したSNSやプロバイダー、会員サイト。そしてデーターや情報といったトラブルです。
消去したつもりでも完全には消去できていないケースも有ります。またSNSの解約をするにあたってID、パスワードが必要になってきますので、それらを託すときはきちんと残しましょう。また使っていない契約や、必要ではないけどなんとなく契約したままの場合は鼻から今から解約をしておくことをおすすめします。
高齢者施設等への入居準備
お年を召していて高齢者施設へ入居することが決まった場合は、必要最低限のものに絞らなくてはなりません。
断捨離も進むかと思いきや、実はそうではないケースもあります。今までの暮らしと別れることになる寂しさもあり、必要、不必要といって捨ててしまうと心の置きどころがなくなってしまうので、そこはあまり無碍にはせずに持って行けないけど処分したくないものはトランクルームやレンタルルームに保管なども視野に入れておけば安心です。
エンディングノートを書く・遺言書を書く
エンディングノートは遺言書など、堅苦しいことを書いて残す形式張ったノートではありません。
もっと自分らしく自由に書くことができ、目的にあったノートを選ぶことができます。
自分の基本情報、自分からのメッセージ、財産資産、銀行の口座やデジタル情報のID、パスワード等の記録、遺言書の保管場所など記しておくとひとまず安心できますし、また定期的に更新することをおすすめします。
遺言書は残された親族のために書いておきましょう。相続財産はもちろん借金も正直に書いておきましょう。
生前整理をしてわかること
生前整理をすると、今までもやもやしていたことがスッキリとして心が晴れやかになります。
残りの人生の後半戦をより楽しむために生前整理をしてご自身もスッキリと過ごすことができます。何よりも不安の一つである残された大切な家族のためなるということが大きなポイントです。
生前整理は物、情報、心が整理され、老後を穏やかに過ごしたいと言う思いが今、若い世代から始められている理由です。断捨離が近年ブームとなり、その先が生前整理なのかもしれません。
まだまだ元気だからと先の事と見ているのなら、今元気で動けるうちに生前整理をしし始めてみましょう。
遺品整理とは
遺品整理とは亡くなった人が所有していたものを残された遺族が整理することを言います。
亡くなってから特にいつまでにやらなければいけないという決まりはありませんが、だいたいは四十九日を迎えた後が家族や親族が集まるので話し合いができるので行われやすいようです。
とはいえ、故人が賃貸物件に住んでいた場合などは葬儀後に遺品整理をしてせざるを得ない場合もありますし、相続税の発生前に行う場合もあります。
遺品整理をするということ
遺品整理を率先して行うのはこどもや兄弟が中心となり相続人が行うことが一般的です。
遺品整理には所有していたものを分配、処分するだけではなく、残された遺族の心に整理をつけることの2つの「整理」があります。
しかし、遺品整理はよく「大変だ」と言われてきています。
特に気持ちの整理がつかずになかなか手がつけられずにいると時間はどんどんかかってしまいます。
遺品整理をする上で自分たちでやるか業者に依頼をするかという選択肢があります。
遺品整理のやり方
遺品整理を行うことが決まったらやり方のポイントを抑えましょう。
闇雲に片付け始めてしまうと終りが見えなくなりますし、肝心なことが抜けていたりするのである程度の計画を持って挑むことが望ましいでしょう。
・遺言書やエンディングノートがあるか確認する
個人の意志が記されていますのでまずは有無を確認する必要があります。
あった場合は遺言書の場合は勝手に封を開けず検認が必要になります。
エンディングノートは故人の意思が記されているケースでも法的な規制はありません。残された相続人や遺族が最終判断を担えます。
・計画を立てる
遺品整理は故人への思いが残りますので手早く整理をすることが難しくなりがちです。
いつまでに終わらせるのかを決めてから取り掛かるようにしましょう。
また相続人、または遺族同士で役割を振り分けるなどして早く終わらせるようにしましょう。
・仕分けする
仕分けをする作業がとても重要になってきます。
大まかに分けると
- ・残しておくもの(相続に値するものや形見分けするもの)
- ・処分するもの
- ・売却するもの
- ・寄贈するもの
で仕分けるといいでしょう。気をつけたいのは処分するものでも親族の間で1度相談をしましょう。処分後に必要なものだった、形見として残したかった、故人と約束していた品だったなどと言われますとトラブルに発展しかねません。
・不要なものを処分する
処分することが決まったら不用品回収業者に依頼をしましょう。その時の注意点ですがくれぐれも悪徳業者に依頼しないよう「一般廃棄物運搬収集業」や産業廃棄物収集運搬業」の許可がある業者かの確認をしましょう。もし許可証がなかった場合、仮に依頼した不用品を不法投棄された場合、こちらが依頼をしたということで罰せられる可能性があります。
業者に遺品整理を依頼する
遺品整理は時間と労力を伴います。
自分たちでは手が負えない、またそこまで時間がない、気持ちの整理がつかないためなかなか着手できない、遺族側も高齢であまり動けない、などいろいろな事情もあるかと思います。
そんなときは専門的な業者に依頼するのも一つの方法です。
遺品整理業者とは
遺品業者とは残された遺族に代わって遺品の仕分けや掃除をしてくれる専門の業者です。遺品の仕分けだけでなく不用品を処分、遺品の買取、遺品の供養までをになってくれます。 また似たような業者で遺品回収業者があります。 遺品整理業者との違いは
- ・遺品の仕分けをしないので思い入れのあるものや形見、価値のある物も処分します。
- ・掃除はやってもらえない
どちらにしようかと悩んでいるのなら遺品整理業者の方が気持ちに配慮してくれ、掃除も行ってくれますので気持ち的にも心が休まるかもしれません。
遺品整理をしてわかること
遺品整理は身内だからこそ、気持ちが入ります。悔いのないように遺品を片付けてあげたいですよね。それがもしかしたら心の最後のお見送りをするという事なのかもしれません。
また、自身に当てはめてみると子供達、身内に苦労はかけさせたくないと思うところも出てくるでしょう。そうして次世代へと受け継がれていく事なのかもしれません。
「生前整理」「遺品整理」のまとめ
「生前整理」「遺品整理」を通してみますと遺品整理のための生前整理でもあることがわかります。 残された家族を思いやる気持ちから始められる生前整理は、さらにプラス思考で後期を過ごすことができるようになります。 遺品整理の大変さを理解してみることでそれが生前整理の道源力となります。 最終的には自身の決断になりますが、若いうちからなら行動しやすいですし、断捨離の気持ちで出来るのではないでしょうか。 まだまだ元気なうちが生前整理をするタイミングかもしれません。 大切な家族のために、そしてご自身のために生活の中に「整理する」を取り込んで過ごしていただければと思います。