今さら聞けない遺品整理とは?費用は相続人が負担しなければいけない

今さら聞けない遺品整理とは?費用は相続人が負担しなければいけない

近年少子高齢化が進んで、必要性が高まっている遺品整理。みなさん遺族がやるものだと考えていませんか?実をいうと、「遺品整理」は親族や身内が亡くなったときに、その人が大切にしていたものを相続人が整理し、きれいにすることです。そして遺品整理にかかる費用も相続人が負担をしなければいけないのです。
そこで今回は、今さら聞けない遺品整理の費用負担や、相続放棄についてわかりやすく解説していきます。

遺品整理って何のためにするの?

まずそもそも「遺品整理」はなぜする必要があるのでしょうか?

  • ・故人との思い出や気持ちを整理するため
  • ・賃貸の場合、故人の部屋を早く明け渡す必要があるため

理由は大きく分けて、以上の2つがあります。 前提として、遺品整理を行うのは体力的にも精神的にも負担が大きいです。故人が亡くなると、遺品整理の前までに各種手続きを行う他、葬式も行う必要があります。そして遺品整理で故人が大切にしていたものを整理するときは、故人との思い出がよみがえってきて、悲しさや寂しさを感じ、精神的負担がかかるでしょう。故人とはもう会えないということにも向き合うことになります。 また故人が住んでいた家が賃貸のマンションやアパートだったりすると、片づけを速やかに行い、家を明け渡さないと遺族が家賃を払うことになってしまいます。これらの理由から「遺品整理」は行う必要があります。

遺品整理は誰がやるのか?

相続人

では、その「遺品整理」は誰がやるものなのでしょうか?自分たちで整理する場合と、業者に依頼する場合があります。しかし実際は、法的には「相続人(財産を引き継ぐ人)」がやることになっています。 遺品整理を自分たちで行うと、故人への気持ちをきちんと整理することができます。また費用も業者に依頼するよりもかからないです。「遺品整理はゆっくり時間をかけてやりたい」、「スケジュール的にも問題ない」という方は、相続人である自分たちがやるのがおすすめです。

遺品整理業者

先程遺品整理は基本相続人が行うものであると言いましたが、近年は精神的負担の軽減や、遠方に住んでいるという理由から、業者に頼むケースが増えています。遺品整理に時間をかけられない方は業者に依頼するのがおすすめです。

遺品整理の費用は相続人が支払う

遺品整理は片付け同様、費用も全て相続人が負担します。なぜなら故人の財産から負担してしまうと、負債が多かった場合に財産放棄ができなくなるからです。

遺品整理で発生する費用

遺品整理を業者に依頼すると、もちろん料金がかかり、家の大きさや不用品の量によってその費用は異なりますが、それ以外で発生する費用としては、

  • ・遺品を処分・回収する費用
  • ・不動産の売却・解体費用
  • ・交通費・飲食代

主に以上の3つが挙げられます。

遺品を処分する費用

遺品を処分する費用には、粗大ごみを処分するときにかかる費用や、不用品回収業者に遺品の回収を依頼したときにかかる費用などがあります。しかし、故人が大切にしていた遺品を何でも処分してしまうのはもったいないため、相続人が引き取ったり、リサイクルやネットに出品するのもよいでしょう。

不動産の売却・解体費用

故人が一人でその家に住んでいた場合、遺品整理を終えた後に売却や解体をしないと、相続人が家賃を払い続けなければいけなくなります。そのため不動産の売却や解体費用が発生することになります。

交通費・飲食代

これは相続人が遺品整理を行う場合に限りますが、交通費や飲食代もかかります。特に遠方に故人が住んでいた場合は、電車やバス、車の料金がかかるでしょう。 相続人が最後まで全部片づけをするとなると、早ければ数日、長いと数週間かかり、その分交通費や昼ごはんや飲み物代が多くかかります。

相続放棄をする場合がある

相続放棄とは?

故人が亡くなると、基本的には遺品整理を行い、相続人が費用を払います。しかし、故人の財産の負債が多い場合や、ある相続人に資産を集中させたい場合に、相続放棄をすることがあります。「相続放棄」とは、相続人が被相続人の権利や義務を一切受け継がずに、放棄することです。相続が開始されたことを知ってから、相続人が3カ月以内に家庭裁判所に申請し、受理されることで、放棄することができます。 ここで注意しておきたいことは、相続放棄をしたら、遺品整理はできないということです。なぜなら、民法第921条で定められている「相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、単純承認をしたものとみなす」に逆らうことになるからです。つまり遺品整理を行った段階で、相続を承認したことになります。

相続放棄をしても遺品整理が必要な場合

先程説明した通り、民法上、一度相続放棄をしたら遺品整理はできません。ですが、

  • ・孤独死だった場合
  • ・賃貸借契約の連帯保証人だった場合
  • ・財産の管理業務がある場合

以上の場合は相続放棄を検討していても、遺品整理をしなくてはいけません。 故人が孤独死をするケースは、遺体発見が遅くなることが多いため、例えば数日遺体を放置しておくと、遺体の腐敗臭が遺品や家全体に染み付きます。これにより相続放棄をする場合でもすぐに遺品を処分しなければいけません。ただこの場合は、自分たちで行わずに特殊清掃や業者に頼んでください! また相続人が故人の住んでいた賃貸物件の連帯保証人だった場合、故人が亡くなった時点で故人とイコールの扱いになるため、遺品整理を行わなければいけません。さらに故人が負債を抱えていたら、保証人である相続人に負債の支払いが義務づけられます。 相続放棄をした後も、新たに相続人が遺品といった財産の管理をするまでの間は、業務を伴います。ちなみに相続人全員が相続放棄をした場合には、家庭裁判所に相続財産管理人を選任していただき、相続財産を引き継いでもらうしか方法はありません。

まとめ

ここまで遺品整理の費用負担や、相続放棄について解説していきました。この記事が少しでも参考になっていただければ幸いです。最後に簡単に今回の話をまとめます。

  • ・「遺品整理」は、故人との思い出や気持ちを整理するためだったり、故人の賃貸物件を早く明け渡す必要があるために行われるものです。
  • ・遺品整理は、法的には財産を引き継ぐ相続人が行うものとされているが、近年は「遺品整理の時間が取れない」「遠方に故人の家があり、通いにくい」という理由から遺品整理業者に依頼するケースが増えています。
  • ・遺品整理の費用は相続人が全部負担します。
  • ・基本的に遺品整理は実施されるものですが、相続放棄をする場合は遺品整理を行ってはいけません。しかし例外として、故人が孤独死した場合や、相続人が連帯保証人になっていたり、財産の管理義務がある場合は相続放棄を検討していたとしても、遺品整理を行わなければいけません。

これから少子高齢化がますます進み、遺品整理を行うことになる場合も増えてくるでしょう。だからこそ今のうちに相続人や相続放棄については、きちんと理解しておきましょう!

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